乳がん体験記⑥ リハビリ開始〜退院編

めきゃ子
めきゃ子

初めての方は「乳がん体験記を書き始めます」にもお目通しいただければ幸いです。私の治療の概要は「乳がん治療の全容:要約版」を御覧くださいませ。

ドレーンが抜けるまで

常に「アップルジュース」と一緒

術後は、皮下に溜まってくる浸出液を体外に出すための管(ドレーン)が脇の下あたりからでていて、排出された体液は首から下げた容器に溜まる仕組みです。

液の色や量は頻繁にチェックされるため容器は透明。つまり自分の体液を首から下げて晒しながら歩くわけなので、最初は抵抗があったのですが、すぐに慣れました。

私の病棟では、何故かこの液は「アップルジュース」と呼ばれていました。「明日アップルジュースとお別れ(=ドレーンが抜ける)なの〜」みたいに。確かに色が似てるけど…!

ドレーンがついたままのリハビリ

尿管が抜けて歩けるようになった手術の翌日から、「積極的に歩くように」と言われました。なのでせっせと病棟内を歩き、下半身を慣らしました。

上半身については、ドレーンが抜去されるまでは、腋窩や創部の血清成分やリンパ液が溜まりやすいため、肩を動かす運動は控え、腕が肩よりも拳上しないように肘から指先までの運動を行います。

ベッドで行うリハビリ

私はハート型の柔らかいボールを病院から頂きました。指の曲げ伸ばしや、他の運動の時もずっと使えたので、本当に役に立ちました。

丸いボールよりも握りやすい

不眠の問題。日中の活動と他者との関わりが鍵

当時のメモに大切なことが書いてあったのでシェアします。

手術後は、断続的な痛みや、脇の下に何かが挟まっているような不快感、将来の不安などで、夜は長く深く眠れなかったり、寝ても「悪夢を見ては起きる」の繰り返しでした。

夕飯後に入眠剤を飲んで、寝落ちするまでYoutubeの動画を見たりしてやり過ごし、朝方にようやくうとうとし始めたところで朝食の時間…2-3日は眠れないストレスが溜まっていました。

そんなある日、同室の患者さんがティッシュと水を切らし、高熱で動けない状態だったので、私が変わりに売店へ。頼まれたアイスなども買っていくと「助かる〜ありがとう!」と笑顔が返ってきました。

些細な事でしたが、この「誰かの役に立った」という喜びがセロトニンを出したのか、ドレーンがついたまま、昼時の混んでいるコンビニにいって緊張したからなのか、その日は朝までぐっすり眠れました。

私の病室は、私以外は難病の臓器移植の患者さん達で、急に高熱が出たり、免疫の低下によってその日は病室から出れなかったりと、常に誰かが寝込んでいました。そこで私は、1日1回、彼女たちの買い出し係をする!と決め、ヨーグルトやアイスなどのオーダーを取ってはコンビニに通ったのでした。

それまでは、歩くのは人の少ない夜の病棟だったのですが、慣れてくると、日中の病院内を平気で探検できるようになり、他の患者さんや店員さんと話す機会が増えました。

すると夜の不眠がなくなりました。私の場合は、他者とお話することが大事だったみたいです。

ドレーンが抜けてから

一気に自由度がアップ!

ドレーンが抜けたのは手術から5日後。身体が何の管にもつながれていない開放感、たまりません!管がない分、着替えも移動も楽になります。

ドレーンが抜けたら、全身シャワーがOKとなります。普段あれほど風呂嫌いだった私ですが、流石に5日も入らないと「ガシガシシャンプーされ、すごい水圧でジャーッと濯がれる私のアタマ」を1日中夢想してしまうほど頭皮が気持ち悪く、お風呂が恋しかったです。

脇の下の痛みが強く、利き手が使えないので看護師さんに洗髪のコツを聞くと「私、午後なら時間取れるので、洗いますよ!」と言ってくれました。宇多田ヒカルさん似の優しい看護師さんでした。そういえば超絶意地悪看護師M子は退院まで私の担当にはなりませんでした。

リハビリに情熱を注ぐ!しかし腕は挙らない!

ドレーンが抜け「腕を肩よりも上にあげてはいけない」制約がなくなったので、リハビリガイドに書いてある運動を全て行うようになりました。メニューは、こちらの田村宜子先生の動画に似ていました。

乳がん術後リハビリA [2分!術直後のストレッチ]
乳がん術後リハビリB [5分!リハビリ・ストレッチ]
乳がん術後リハビリC [4分!リハビリ・ストレッチ]

1日1回以上必須といわれたリハビリを3回やっていた私ですが、それでも退院まで、腕はまっすぐ挙りませんでした。痛いからというより、突っ張っていて、物理的に挙らないんです。

リハビリの主目的は、傷が治る過程で癒着したりして腕が上がりにくくなる等の運動障害を防ぐことです。

巡回してきた乳腺外科の先生に「こんなに努力しているのに挙らない」と愚痴ると衝撃のコメントをいただきました。

「挙らない?いや、もうね、つっぱりに打ち勝つつもりで、挙げてください。ビーン!と何かが切れような音がするときがありますけど、大丈夫なんで。

(えええええ!ビーンと何かがって、いったい何がどう切れるんですかっ!?)

そしてとどめの一言。

「今頑張らないと一生腕が挙らなくなりますよ!」

ひええええーーーやります!やりますとも!

おかげさまで毎日リハビリに励んだ結果、リハビリ開始後3週間くらいで、腕がまっすぐ上がるようになりました。

後日談:退院後の自宅リハビリ中、本当にビーンという音が頭に響いた日がありました。弦の切れるような。先生の言う通り大丈夫でしたが…結構ビックリしました。

いよいよ退院!

クリスマスにギリ間に合った!

ドレーンが抜けた翌日、リハビリ科に行き可動域をチェックしてもらいました。腕の上がり具合は完璧ではないものの、合格点をいただいたので、2日後(12/24)の退院が決定!

手術前日、怪力により作業療法センターの婦人用握力計を破壊してしまったのですが、今回は握力計が標準男性用にアップグレードしていました…

退院は嬉しい!けれど、仲良くなった同室の方々とのお別れは寂しかったです。「買い物とか色々ありがとうね、助かったよ」と言われて不覚にも涙が… 彼女たちのおかげで、どれだけ勇気づけられ、温かい気持ちになれたか。助けられたのは私のほうでした。

ただいま。やっぱりおうちが一番

毎日のお見舞いと洗濯・差し入れ、私の家族との調整等、全てをフルタイムの仕事をしながらこなしてくれたパートーナー。帰宅すれば彼女の家事がさらに増えてしまうとわかっていても、おうちはやっぱり嬉しい!

帰るとクリスマスのデコレーションがしてありました。そして私の好物ばかりの妻の手料理が…うぅぅ旨い!旨いよ、シャバの飯!

うしおは普段は妻にだけ甘えるのですが、なぜか数日は私にべったりでした。猫なりに私の不在を理解し、一生懸命お留守番してくれていたんだなと思います。その健気な様子は「うしおの留守番日記」を是非お読みくださいませ。

次回は「乳がんリハビリ【ワキワキ体操・全種目】」です。手術の前よりも、まっすぐに高く挙がるようになった超おすすめの体操のご紹介です。ではまた!

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