民法877条第1項では「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められ、介護放棄は懲役刑となります。毒親育ちでない方々もいつか経験するかもしれない、親の施設探しについて待った無しの毒親介護と並行してお話します。
攻略本はない…というか読み込む余裕なし
セーブ不能なアクティブタイムバトル
ロールプレイングゲーム好きの私から言わせれば、老人介護とは「セーブ不能なアクティブタイムバトル」です。それは突然始まり、立ち止まり考えることも許されず、クリアするか、親が倒れるか、自分が倒れるまで闘い続けるしかありません。
調べる気になれば、老人介護に関する書籍やWEBサイト等々、たくさんあります。しかし、情報がありすぎて選別できない、途中まで読んだらうちの状況と違っていた、大筋は書いてあるが肝心の部分が濁してある…こういうものが多いです。
つまり「攻略本はたくさんあるが、自分が知りたい情報にたどり着けない」状態です。老人介護と言っても、介護制度、要介護認定の申請方法、制度の利用方法、在宅介護、施設介護、それに伴う行政手続き、資産管理、後見人制度…全部知ってたら何かのプロになれます。
尻メガネ家のように、きょうだいが介護従事者・医療従事者でも全く機能しないのですから、素人が老人介護という戦場に投げ出されたときできることは少ないです。私が言えるのは「自分が生き残ることが重要」だということです。
親との関係性や残り時間にもよりますが、どんなに親が好きだったとしても、介護の長期化は疲弊するものです。その場しのぎの自己犠牲は、結果的に大ダメージで返ってきます。継続できることをやる、そしてできないことをやらなくて済む方法を探しましょう。
相談先により回答はさまざま
待った無しの毒親介護①でも書きましたが、自分が聞きたいことと、相談先の回答が噛み合わないこともあります。この時のケースでは、私「老人ホームを紹介して欲しい」に対し、ケアマネさん「入所しないで暮らせる方法を探しましょう」でした。
また、有料駆け付けサービスの契約時には、「できるだけ長く家で過ごせるようお手伝いしていきます」と言われました。…それ、お願いしてないです。でもこれ、彼らの立場上当たり前の発言です。私が相談したのは在宅介護をメインに仕事をされている方だったからです。
立場の違いを差し引いても、凄いことを平気で口にするなぁとも思いました。「娘さんがいて良かったね」「何かあれば次女さんが来ますから」「家で長く暮らすことが一番です」家族関係や経済状況など考慮せず発言されることに都度驚かされます。
先日、のんきなケアマネさんに、両親が理由で仕事を辞めたこと、父は要支援1なのに入浴もできずおむつにう〇こを漏らしていることを話しました。絶句し、すぐ区分変更の手続きに入りました。担当が多すぎて、一人一人の状況を把握できていないんだなと思いました。
こういったすれ違いを避けるためにも、こちらから積極的に情報共有したり希望を伝えておくことは大事です。認知症がよほど進行しない限り、在宅か入所かを決めるのは本人で、家族の希望は通りません。それでも状況を伝えることは必要です。
在宅では無理なの?
最初は私もそう思いました。そのための努力もしました。走り回り、お金も使い、時間も使いました。頻繁に呼び出され、仕事もできなくなり、自分が無収入になった時点で、在宅という選択肢は私の中でなくなりました。
しかし残念なことに、まだ何かを失う経験をしていない身内が、未だ入所を渋っています。両親たちが渋っているだけでなく、断捨離など頑張っていた姉まで「小規模多機能でいいんじゃないか」と言い出しました。親は元公務員、年金もそれなりにもらっており、入所一択でお願いしたいです。
小規模多機能を使っても古すぎる家はどうにもなりませんし、人員的にも目を離す時間帯は必ずあり、安全ではありません。そしてこれを言ってしまったら元も子もないわけですが、そもそも私が人生を犠牲にしてまで看る価値がない親にもう何も費やしたくないのです。
世間では「産んでくれただけでも感謝しろ」と言いますが、産まれてきたことを後悔する経験をしている人もいます。私は児相介入で別居してましたので、子育てできない親が許されるならば、親の介護ができない子も許されていいと思ってます。
児童虐待防止法の制定は2000年、それ以前はほぼ無法地帯でした。介入する側もできることが少なかったです。最低でも児相介入した親子は法律で介護義務を外してほしい、何なら親子関係も外せる選択肢がほしいです。
立ち止まれない、だから動くしかない
施設の探し方は自己流
私が目指すのは両親の入所ですが、誰に相談しても全く教えてもらえません。う~ん、ネットで調べるか…検索すると比較サイトがいっぱい出てきました。写真もあって分かりやすいのですが、用語が分からないし、最終的にかかる費用も読み取れません。
利用したのは『みんなの介護』。率直な感想として、全部を読むには情報量が多すぎる(他の比較サイトも同じく)ため、いきなり施設検索からはじめました。地域、要介護度、受けられるサービス、費用を入力して検索し、見学申込をしました。
見学ではなく資料請求をされる方の方が圧倒的に多いと思いますが、条件にあう施設がそもそも少なく(要支援1で入居可能なところは地域的にほぼなかった)、だったら直接見て質問した方が早いと考えました。
みんなの介護から即、見学申込確認メール、翌日に見学日時についての案内メールが届きました。数日中に各施設からパンフレットも届きました。資料に目を通しましたが、詳細がなかったり金額が不明瞭だったり…そこで事前に質問リストを用意することにしました。
みんなの介護は本当に情報量が豊富!施設見学の際のチェックポイントについて解説した記事の中に、大変便利なチェックリストがついていますので是非ご活用ください。私はこれを元にエクセルで追加事項を入れた一覧表を作成しました。
気になるお値段の算出方法
先ほどのチェックリストについては、おそらく7割程度パンフレットに書いてありますので、事前に目を通しておくと慌てずにすみます。実際の見学時に質問・目視チェックするのは残り3割と、自分が疑問に思ったこと等です。
最初の施設見学、正直何を用意していけばいいか全くわからないまま行ってきました。場所は実家から徒歩圏、ここなら抵抗する両親も案外入ってくれるかも?という淡い期待を抱きつつ訪問。施設の皆様とても親切で、少し早めに到着しましたが準備万端で受け入れてくださいました。
ここに来るまで、肝心の費用部分がよく理解できていませんでした。月額費用の他に介護保険料の表を渡されて初めて、月額費用=ホテルでいう宿泊料(部屋代や食事付プランなら食事代など基本的なサービス)、介護保険費用=リハビリや入浴介助といったオプションサービスだと知りました。
これ以外に実費負担もあります。施設により多少異なりますが、日常の消耗品(おむつやトイレットペーパー、歯ブラシなど)、嗜好品(おやつなど)、医療費、通院付添費(※付添不可の施設も多いので要注意)、理美容費がかかります。
比較サイトでパッと調べられるのは「入居一時金」と「月額費用(介護保険部分は含まない)」です。介護保険部分は施設ごとのページに一覧表があり、介護等級や自己負担割合(1~3割)により異なります。また、実費部分は見学時に質問しないと分からないことが多いです。
ハード・ソフトの両面を知る
1軒目の施設見学で分かったことがたくさんありました。まず職員さんたちの対応が非常に良かったこと、その裏付けとして入所者の皆さんも明るかったです。感染予防対策をしながら、施設内で毎日何かしらのイベントも開催しており、ソフト面が充実していると感じました。
今すぐにでも…と思いかけたところで、実際の部屋を見せていただきました。んん?何だかエレベーターが狭い…そして廊下も車椅子だとギリギリかも…。部屋は15㎡、かなり狭いため、入り口付近に設置されたトイレは簡単なカーテンで仕切られ丸見えの状態でした。
こちらの施設、某企業の単身寮を改築したものです。後付けでのトイレ設置が難しかったようですし、建物自体もかなり古いせいか、一階の食堂以外は全体的に寒く感じました。後述しますが、施設の種類によって暖房器具の制限があるため寒いのは致命的なのです。
通院付添や郵便物の管理もしてくれて、ソフト的にはとても良かっただけに、狭さと寒さという個人では改善不可能なハード面の残念さがより際立ちました。対応してくださった職員さんも分かっており、すぐに系列の別な施設を紹介されました。
説明を担当してくださった方が気さくな方で、人見知りの私も何とかお話を伺うことができました。ハード面で入居は見送りとなりましたが、この時紹介してもらった別の施設を後日見学することになりました。
1軒目見学後のまとめ
忘れないうちに情報整理
帰宅後、訳も分からず殴り書きした情報をExcelにまとめました(次の施設見学も予約済みで、一覧の方が分かりやすいと思った)。この時はまだ分かっていなかったけれど重要なことを、リストアップしてみました。
忙しい方は、みんなの介護で用意されているチェックリストのみでも大丈夫だと思います。個人的には1軒目で決まる確率が低く、比較検討が必要になるため、表でまとめることをおすすめします。許可がおりれば部屋の写真なども撮影しておくといいです。
施設区分
基本中の基本ですが、これ本当に大事!比較サイトで簡単な条件指定で検索・見学申込した私は、施設の種類によって何が違うのかよくわかっていませんでした。そのため、2軒目・3軒目はそもそも両親の状態に合わない施設を見学することに…
周辺環境
施設の多くは街中よりも郊外が多いです。急な呼び出しの際、家族が駆け付けやすいかも大事な要素です。特に公共交通機関での移動を前提とする場合は要チェックです。また、周りにスーパーやドラッグストアなどがあるかどうかも調べておきましょう。
実際にかかる費用
下記項目について、いくらかかるか確認が必要です。パンフレットには書かれていない保険の加入が必要だったり、月額費用に含まれていると思っていた光熱費が実費だったりするケースがあります。また、実費部分は施設側で金額提示できませんので少し多めの見積が必要です。
- 入居一時金 … 通常、初期費用+償却費用です。一定期間で施設契約を解約することになった場合の返還についても確認が必要です。
- 月額利用料 … 賃料・管理費・食費(一部施設では提供がなかったり自由選択になっています)・上乗せ介護費・その他がかかります。一時的に入院した場合も支払いが必要か、介護費は具体的にいくらか(地域によって違います)、その他部分に何が含まれるかも確認しましょう。
退去条件
ようやく入居したと思ったら、医療行為が必要になり施設で対応不可、というケースもあります。どこまでの対応が可能か、不可になった場合の紹介先などについても質問すれば回答してもらえます。認知症は進行するとほとんどの施設が難しくなるので要注意です。
通院
サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームの場合は自分で通院するところが多く、介護付き有料老人ホームの場合は「家族が付き添う」「有料で職員が付き添う」「訪問診療(施設へ往診に来てくれる)」のいずれかなので、確認が必要です。
面会・外出・外泊
感染症予防のため、面会・外出・外泊禁止の施設が増えています。つまり一度入所したら会えないことも想定が必要です。面会可の場合も時間や接種状況の条件があります。荷物の受け渡しができるか、宅配便の受け取りは可能か、できない場合は買い物代行サービスがあるか確認しましょう。
翌日は2軒見学したのですが、施設区分を理解していなかったことから『サービス付き高齢者向け住宅』と『住宅型有料老人ホーム』という、両親の状態に合わない2タイプを見ることに。これはこれで貴重な経験でしたので、次回お話したいと思います。
行政で緊急ボタン付けてくれるとケアマネさんから聞いて喜んだのも束の間、「NTTの回線契約していないとダメです」と…。KDDI回線の実家は契約できず、ALSOKさんと自費契約。
すぐに駆け付けてくれるのは本当にありがたいです。
他にもいろいろサービスあります!